妊娠・出産によってもらえるお金や、免除されるお金があるってご存じですか?
ほとんどの方が、一度は耳にしたことがある手当といえば
- 出産・育児一時金
- 出産手当金
- 育児休業給付金
- 児童手当
これら全て、妊娠、出産、育児中に貰えるお金です。
聞いたことはあるけれど、なんだか同じような名前で違いがよくわからないですよね。
そもそも、申請の手続きってどうなっているの?
病院や会社、行政が勝手にやってくれるの?
助成や、免除されるお金があるけどよくわからない。
実際にいくら貰えるのか、わからない。
分かりにくい内容を、FP事務所を舞台に3人のキャラクターが分かりやすく、お話していきたいと思います。
左:涼子さん・・・事務所の常連客、新婚さん。金融知識を勉強し始めた
中:吉永所長・・・真面目で腕利きFP事務所所長
右:夏美さん・・・新人FP。明るく元気でちょっと天然
序 章 手当金の紹介
第1章 傷病手当金
第2章 妊婦健診
第3章 出産・育児一時金
第4章 出産手当金 →今回紹介
第5章 育児休業給付金
第6章 児童手当
第7章 免除されるお金
▼前回の記事はコチラからどうぞ▼

今回紹介して頂く出産手当金は、申請してすぐに支給される手当金ではないと前回おっしゃっていましたが、本当でしょうか?
そのお話をする前に、前回ご紹介した出産・育児一時金との大きな違いについて、お話したいと思います。
今回お話する出産手当金は、仕事をしている方、詳しく説明すると、勤め先などで健康保険に加入している方のみ受け取れる手当金となります。

出産手当金とはお仕事をしている方が、産前産後にお休みをとる間(産休)収入がなくなってしまうことに対する経済的負担を支援するための制度となります。
健康保険に加入していればパートや、アルバイトの方でも出産手当金は受け取れることが出来ますよ。
働きに出ていない専業主婦の方は貰えないってことですよね。
自営業の方ももらえないんですよ。

だって、妊娠によって働けなくなった間の収入を支援してくれるための制度でしょ?
自営業の方のように国民健康保険に加入の方や、ご主人もしくはどなたかの健康保険の扶養に入っている方は受給できません。
多くの女の子が、寿退社に憧れた時代もあったけど、今は国からの支援もあって色々守られているし、お金のことを考えると辞めるなんてもったいないわね。
実際、私の友人でも結婚を機に職を変えようと転職を決意して先に仕事を辞めましたが、退職後すぐに妊娠が発覚した子がいます。
すぐに辞めなければよかったと、すごく後悔していました。
そういえば退職後も出産手当金は受け取れるのかしら?
条件を満たしていれば、受け取ることが出来ます。
- 1年以上継続して、勤め先で健康保険に加入していたか
- 退職日は出産手当金支給期間内であるか
もう1つ重要なこととして、退職日に出勤・労働していないことです。

この支給期間中に勤め先から給与など報酬が支払われる場合、出産手当金は支給されません。
その金額が出産手当金の支給額より少ない場合は、出産手当金との差額が支給されるので安心してください。
その支給分が出産手当金の支給期間に報酬が支払われたと考えられ、支給されるはずだった出産手当金から調整された差額が支払われたそうです。
それに、お友達みたいに出産予定日から逆算して産休に入ったとしても、予定日より早く出産したり、逆に予定日より遅くなってしまった場合の支給期間ってどうなるのかしら?
そういった場合も国がきちんと考えてくれています。
考えられるケースとして3つの支給期間ありますね。
- 予定日通り出産したケース
出産予定日より42日前(多胎児出産の場合98日前)から出産日後56日以内 - 予定日より早く出産したケース
出産日が予定日より前にずれるため出産日より42日前までに働いて給与をもらっていた場合は、早まった日数分の手当金は支給されない
つまり本来の支給期間より日数が少なくなり、支給額も少なくなる - 予定日より遅く出産したケース
出産日が予定日より後ろにずれるため、本来の出産予定日前42日+αという考え方
そして出産日後56日間という支給期間は変わらないため、純粋に本来の支給期間より日数が多くなり支給額も多くなる
“出典:Rakuten保険の総合窓口”
そういえば、支給額はいくらくらいになるんでしょうか?
と言われても分かりづらいですよね。
出産手当金はまず、1日の支給額を計算し、その支給額を支払期間の対象となる日数に掛け算出します。
支給額の計算式は、このようになります。
“出典:Rakuten保険の総合窓口”
この計算式は手取りで受け取れる金額です。

詳しくはまた別の機会にお話ししますが、出産手当金は先ほどの計算式の金額が手元に入る金額と思っていてください。
そうなると、普通に働いていた時に支払われる手取りとあまり変わらないわ。
出産手当金は出産・育児一時金と違って、すぐ支給されないんですよね?
申請から支払いまでの期間でいうと大体1〜2か月かかります。
産前・産後と分けて申請することが出来ますが、申請には事業主の証明が都度必要になるため、産後57日以降つまり出産手当金支給期間終了後にまとめて申請する方が多いです。
すぐ申請しても1〜2か月かかる、多めに見て2か月(60日)だとすると…
大変!
約5か月は収入がないと考えていたほうがいいのね。
またまた私の友人の話なのですが、産後に会社から書類が来たそうなんです。
てっきり友人も出産手当金・育児休業給付金の申請書だと思ってたみたいで、産後半年が過ぎても入金がないのでおかしいな?って思ってて。
会社に問い合わせてみたら、手続きがされていなかったということがあったんです。
どうしてそんなことが起きてしまったの?
会社が勝手にやってくれるだろう、教えてくれるものだと思って出産手当金の申請にどんな書類が必要か知らなかった友人もよくないんですけどね。
どこへ申請すればいいかしら?
1つずつ、お話しますよ。
まず、産前の余裕のある時に出産手当金の申請書を用意しておくといいと思います。
産後は体調がどうなっているかわからないので、事前に用意できていると焦らず安心です。書類は傷病手当金と同様「全国健康保険協会」のホームページよりダウンロードできます。

“出典:全国健康保険協会”
- 出産された方または、代理の方が記入する書類
- 医師・助産師が記入する書類
- 事業主に記入してもらう書類
産休に入ってから出産手当金申請〜支給まで5か月間ほど無収入になってしまうので、その間のお金は準備する必要がある。
これは一番注意しなければいけない点ですね。
そして出産手当金は働けない期間の収入、経済的負担を支援するための制度ですので支給回数は1回。
もしくは産前・産後と申請を分けた場合は2回となります。
育児休業給付金は女性だけでなく、男性も受け取れる給付金です。
詳しくは次回お話します。